八千代市政を考えるブログ

千葉県八千代市では、今どんなことが問題になっているのでしょうか?
身近な疑問、改善できそうなこと、千葉県から見た八千代市など、さまざまな角度から考えてみました。

八千代市長(2017.5月就任)のはっとり友則です。
現在取り組んでいる政策、進捗状況なども併せてご報告していきます。

カテゴリ:八千代市政 > 財政について

~八千代市のまちづくりと財政運営を考える~

最近、新しい小学校や市庁舎、防災道の駅など、大きな計画が次々と進んでいますので、
「未来にツケを回すことにはならないのか」
「箱モノ行政になっていないか?」
といったご心配の声をいただくことがあります。

たしかに、大きな事業が続くと、財政が大丈夫なのか不安になるお気持ちはよく分かります。
そこで今回のブログでは、市の考え方と財政運営の実情、そしてこれからの八千代市の未来についてお話しします。


1.「必要な投資」で市民の暮らしを守る

まず前提として、現在進めている大型事業はいずれも【将来のために先送りできない】から【今取り組むべきだと判断した】事業です。

たとえば、西八千代地区に建設中の新設小学校。
児童数の増加に伴う小学校不足を解消するために2026年4月開校を目指して進めている事業で、子どもたちが安全で快適に学び成長できる環境を整えることは、まちの未来を築く土台ですから後回しにするわけにはいきません。
先送りすればするほど建設コストは上がり、仮設校舎など余計な経費もかかることになります。

新設小学校イメージ

市庁舎の整備も同じです。
いつ発生してもおかしくない大地震への対策が最優先の課題となる今、耐震性能を確保し、災害時にも対応できる体制を整えることは喫緊の課題です。
災害が起きた際、市の司令塔となる庁舎が機能を失えば、市民の命を守ることはできません。
これも決して贅沢な話ではなく、命を守る投資だと私は考えます。

防災道の駅や市民体育館の改修も、ふだんの便利さだけでなく、災害時の避難拠点としての役割が期待されています。
暮らしの安心につながる事業であり、今やらなければならない課題だからこそ「今」取り組んでいるのです。


2.財政はしっかり「見える化」しながら運営

財政についても、「歳出超過」という言葉だけが一人歩きしていますが、実際はもう少し複雑です。

市は中長期の財政見通しをきちんと立てていますし、基金(いわば市の貯金)の計画的な活用や、市債の健全な管理もしています。確かに一時的に支出が増える局面ではありますが、それは必要な時期に必要な投資をしているからです。
それでも計画の範囲内で進められていることは、公開されている財政資料でも確認できます。

もちろん、市も「何でもかんでもやる」わけではありません。
事業の優先順位付けや、補助金の活用、工事費の精査など、財源の確保に向けた努力も進めています。

例えば、直近の予算でも、税収が引き続き堅調に伸びると見込まれるなかで、小中学校の整備には国の補正予算で用意された補助金を活用しています。また、庁舎建設や学童保育所の設備整備には、将来の負担を抑えるため、交付税措置のある有利な起債を活用するなど、見直しを行いました。
さらに、公共施設の計画的な改修に備えた基金も積み増すなど、将来を見据えた財政運営にしっかり取り組んでいます。
詳しくは下グラフをご参照ください。

「市民のために必要なことは進める」
「必要のないものはやめる」
私はこの考えを大切にしながら、財政の健全化とまちづくりの両立を図ってまいりました。

八千代市の財政について_改_基金残高の推移
▲ 基金残高の推移
家計で言えば、いわゆる預貯金です。
庁舎や小中学校などの公共施設は、老朽化が進んでいますが、こうした課題にしっかり備えるため、市では「庁舎整備基金」や「公共施設等整備基金」を計画的に積み立てています。
将来の大きな財政負担を軽減し、安定した市の運営を続けられるよう準備を進めています。


八千代市の財政について_改_市債発行額・元金償還額・市債残高の推移
▲ 市債発行額・元金償還額・市債残高の推移
家計で言えば、ローンなどの借り入れにあたります。
「市債の発行額を償還額以下に抑える」という方針のもと、令和6年度までは市債残高は減少傾向が続いてきました。ただし、令和7年度以降は、庁舎建設やみどりが丘小学校の分離新設、市民体育館の改修、防災道の駅やちよの整備など、大規模な工事が予定されているため、一時的に市債残高が増える見込みです。今後も計画的に残高を減らしていく方針は維持しながら、引き続き縮減に努めてまいります。


3.「選ばれる八千代」へ。今の投資は未来への種まき

よく「選択と集中」と言われますが、八千代市はまさにその姿勢です。
今進めている事業は「市民生活に直結するもの」にしぼっています。

たとえば、住みよい環境をつくることで人口流入を促し、将来の税収増加につなげる。
子育て世代が安心して暮らせるまちにすることで、企業誘致やまちの活性化につなげる。
こうした「未来への投資」が、まちの好循環を生み出すのです。

私は、八千代市が【住みたいまち】【行きたいまち】【働きたいまち】として「選ばれる」まちづくりを目指し、さまざまな取り組みを進めていきたいと考えています。
人口が増えれば市税も安定し、まちのサービスも充実。
今回進めているような新しい施設整備は、将来の税収増加を見据えた好循環の一部でもあるのです。

何も投資をせず「ツケを回さない」ことだけを考えてしまえば、かえって未来の市民生活が苦しくなってしまうかもしれません。
もし、必要な整備を怠り、子どもたちを遠くの学校に通わせたり、耐震性の低い庁舎のままにしておいたら…。
たとえ財政が黒字でも、市民生活は豊かと言えるでしょうか?

市民の皆さんにとって本当に必要な投資を精査し、皆さんからお預かりした大切な市税は、市民の暮らしと未来を支えるためにしっかりと活用してまいります。

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▲ さまざまな機会で市民の方からお声をいただいております。

市の財政運営がこれからも健全であるためには、【市民の目】もとても大切です。
皆さんが市政に関心を持ち、意見を交わすことが、まちをより良くする力になります。
私はそうした皆さんの声を受け止めながら、必要な事業には果敢に挑戦し、不要なものは見直す姿勢を大切にしてきました。

今、八千代市は、必要なことにはしっかり取り組みつつ、無駄なことは省く姿勢で進んでいます。
これからもブログやSNSなどを通して、皆さんに分かりやすくお話していきたいと思いますので、ぜひ一緒に八千代の未来を考えていきましょう!

駅頭でのごあいさつや、市の各種行事などでお会いした際にはぜひお気軽にお声がけください。

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先日のブログで、都市公園を団体スポーツ利用するための手続きを簡略化し、利用者の負担を減らす取り組みを進めると申し上げました。
今回は、令和元年度に公民館でも登録サークル活動に支障をきたすような状況があり、改善するに至った経緯がありましたのでお話したいと思います。
ご参照/
都市公園での団体スポーツ利用の手続きについて(2021年03月04日)

登録サークルの利用手続き簡素化
八千代市の公民館は、現在5人以上の市内団体であれば、学習や集会の場として無料で施設を借りられることになっています。その際、公民館の予約や抽選申し込みなどの手続きは、パソコンや携帯電話などから「八千代市施設予約システム」にアクセスして行われています。
実際に利用する際には、予約した公民館に「施設利用申請書」を提出するという流れになっています。

ただし、一年間継続して活動し、且つ活動状況に問題がないことを認められた「登録サークル」については、一年分の予約を行い、その先行予約の決定のみで利用することが可能でした。
しかし、平成31年4月1日から『公民館管理規則に則り、利用日ごとに「施設利用申請書」を提出することに改める』と公民館側から利用者へ通知がなされたのです。
言い換えれば、予約した日程はあくまで「仮予約」扱いとされ、毎回公民館へ出向いて確定の許可申請手続きを行わなければならないという手間が発生したということになります。

これに対し、市内の各公民館サークル連絡会から
①今まで何のトラブルもなかった公民館設立以来の利用慣習をないがしろにしている
②年間24回の新たな「施設利用申請書」を書かねばならないのは事務の手間、紙のムダにつながる
といった不満の声が上がりました。

登録サークルとして認められるには、一年間を通して活動の状況を確認され、
講師への謝礼金が適切かどうか?
メンバーは八千代市民が適正な割合で所属しているか?
正しく活動がなされているか?
営利目的な活動がなされていないか?
といったチェックをクリアしなければなりませんし、継続申請で年1回きちんと確認もなされるので、単発利用者とは切り分けて利用者の負担軽減を図る必要があると判断しました。

そこで、「公民館管理規則」の内容を変更することを促し、公民館へ改善を求めました。
規約変更に1年かかってしまいましたので、その間サークル利用者の皆さんにはご負担をお掛けしてしまいましたが、令和2年度からは毎回申請書を提出する必要がなくなりました。
利用者の皆さんからも安堵の声が聞かれましたので、ホッとしております。

施設利用料の有料化ストップ
公民館をどなたでもご利用いただける市民サービスの一環とするために、市長判断で「施設利用料の有料化」の方針を取り下げました。
実は、公民館を含む公共施設使用料の有料化については、「八千代市第2次行財政改革大綱 後期基本計画」(平成28年度~令和2年度)の中で検討が進められておりました。
これは健全な財政運営のために※受益者負担の適正化を図ることが目的です。

※受益者負担

実際にサービスを利用する方には使用料などを徴収し、運営にかかるコストの財源として充てるという考えです。

しかし、各公民館が置かれた状況(老朽化の進度、規模、施設備品など)はさまざまであり、真に適正な「受益者負担」を設定することは難しい状況です。
そもそも、公民館ではあくまで自由な市民活動をサポートする場であり、収益につながるイベントは文化センター等の有料施設を利用することになっていますので、施設の設置目的や役割を鑑み「受益者負担の考え方」自体が適切ではないのではないか?という懸念もあります(無料で誰でも利用できる図書館や博物館などと同じ立ち位置という考えです)。
そもそも、有料化することによって、逆に利用者が減ることによるデメリットが大きいという見解もありました。

この件については行政としてはほぼ有料化が既定路線になっていましたが、公民館運営審議会や八千代市公民館サークル連絡会、また行財政改革に関わってくださる市民委員の皆さんの声などを踏まえ、最終的には「有料化は見送り、施設使用料の無料化を継続する」という市長判断とさせていただきました。
近隣市では施設使用料がかかるケースがほとんどですが、私が市長である間はこの方針は維持しますので、有料化はいたしません。

新型コロナウイルスの感染拡大により、なかなか公民館を活用いただける機会が少なくなってしまっておりますが、皆さんの心身の健康増進のため、ぜひ引き続きお気軽に公民館を利用していただければと思います。

参考/
八千代市の公民館
http://www.city.yachiyo.chiba.jp/town/category00000142.html

八千代市では、新型コロナウイルス対応事業としてさまざまな市独自施策を講じてきましたが、その中で、内閣府が確保した「※新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用して実施した施策は令和3年1月末までで計14本あります。
事業全体の予算内訳は合計22億円、うち14.5億円を交付金の活用で実現しました(残り7.5億円は市の持ち出し)。

※補足
新型コロナウイルス感染症の対応に奔走する地方公共団体の取り組み支援のため、内閣府が確保した交付金です。(詳細/https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/rinjikoufukin/index.html


国の交付金を活用し、八千代市が行ってきた新型コロナ対応独自施策はこちらです。

1.広報やちよ号外発行(令和3年1月発行分の追加)
/年末から急激に増加した新型コロナの市内感染拡大を、インターネットをご覧にならない方にも伝わるように紙面にて注意喚起をしました。

2.非接触式検知器(体温測定器)等の購入
/新型コロナ感染拡大防止対策として、令和3年1月に本庁舎の出入口3か所(計4台)のサーモモニター(非接触式体温測定器)を設置しました。
※春頃に市内各学校へ配布した非接触体温計の件とは別です。
体温自動測定

3.新型コロナウイルス感染症患者の入院受け入れ支援事業補助金
/新型コロナ感染症患者で入院を必要とする方が市内の医療機関に入院することができるように、入院を受け入れる市内の医療機関を支援するための補助金です。

4.介護サービス事業所における新型コロナウイルス等感染症対応のための衛生用品備蓄事業補助金(金額変更)
/以前から実施してきた件ですが、交付金を申請するための計画時の予算よりも執行額が異なる見通しとなったため、金額変更を行いました。

5.障害福祉サービス等事業所における新型コロナウイルス等感染症対応のための衛生用品備蓄事業補助金(金額変更)
/4と同様

6.高齢者インフルエンザ予防接種の無償化
/令和2年度に限り、重症化しやすいとされている高齢の方を対象に「新型コロナ対策の一環」として、主に高齢者の方を対象にインフルエンザ予防接種を無料で接種できるようにしました(対象者へ9月末にハガキ送付済)。

7.PCR検査等実施の医療機関助成金
/「行政検査におけるPCR検査を実施する」と協力してくださった医療機関に対して、1医療機関につき30万円助成しました。

8.キャッシュレス決済ポイント付与業務委託
/[八千代市×PayPay] 対象店舗で最大20%戻ってくるキャンペーン(1期/令和2年11月~12月、2期/令和3年1月~2月)を実施。

9.臨時相談窓口設置業務委託(商工観光課管轄)
10.中小企業経営支援金
11.公共交通支援に関する金額の変更
12.修学旅行等中止時の負担費用補助事業

/市内小中学校の修学旅行(小6・中3)及びホワイトスクール(中1スキー)の中止決定に伴うキャンセル費用を、保護者にご負担いただくことが無いよう補助。

13.市内小・中学校の学習支援ソフト(減額修正)
/これは、休校中の学びの支援ツールとして5月から市内小・中学校で導入している学習支援ソフトで、3月までご家庭のインターネット環境を利用してドリル型コンテンツで家庭学習できるように予算化しました。当初は8月まで無償サービスとされていましたが、無償期間が1ヶ月延長されたため、減額修正しています。

14.就学児童生徒の援助事業

/休校期間中も学校給食が実施されたこととみなし、経済的支援を行うために準要保護世帯に対して学校給食費相当額を支給しました。これは、学校が休校で給食が無くなり、給食で賄えていたはずの昼食を家庭でとることとなりますから、その昼食代が家庭の負担になることを援助するものです。


さらに、今後の新規事業として、
・市ホームページのスマートフォン対応(利用者の利便性向上)
・公民館オンライン講座のための動画撮影準備
・電子図書館用の電子図書の更なる充実
などを検討中です。

また、実施した施策の中でも「PayPay20%キャッシュレスポイント還元」事業は大変好評であることから、3月以降の実施についても検討するよう指示しております(1期・2期通して4億円を想定していましたが、1月末時点で5億円に達しています)。
paypay2021-01-29


なかなか収束の見通しがつかない新型コロナですが、市内の状況に即した施策をタイムリーに講じることが出来るよう、引き続き注力してまいります。

私が目指す八千代市の将来像は、乳幼児から高齢者までが安心して暮らせる八千代市の実現です。特に子育て支援に力を入れないと都市間競争に勝ち抜けないという私の持論もあり、八千代市の発展には欠かせない大きな柱だと考えています。
さて、先日「子育てしやすい街をモットー(指針)にしている」とTwitterに書いたところ、本当に八千代市は子育てしやすいのか?実感できない、といった声が寄せられました。

そこで今回は、子育てしやすい街なのか?という点についてお話していきたいと思います。

八千代市は、もともと「子育て支援」に積極的に対応してきた先進市であるという歴史があります。今ではメジャーな制度である『幼稚園就園奨励補助金』も、仲村元市長時代に創設された、当時日本で初めて八千代市が始めた取り組みです。
※補足
仲村元市長は、昭和46年から平成7年まで6期24年にわたり、市長として八千代市発展のために尽力された方です。
(詳細はこちら)
http://www.city.yachiyo.chiba.jp/22000/page100044.html

しかしながら、私が就任する前の予算編成には、市民サービスに直結する予算がかなり削られていることが大変気にかかっておりました。
以前にもこのブログでお話しましたが、例えば「市内の9社会福祉法人と4認可外保育園が協議の上、平成29年度に9,200万円の予算要求を行ったが、399万円しか措置されなかった」という状況がありました。これが何を意味するかというと、待機児童を減らすための措置をほぼ全額カットしているという話なのです。当時の保育行政において、待機児童ゼロに向けて取り組みを進める上で保育士の確保は至上命令下であったにも関わらず、八千代市独自の加算である処遇改善が全く図られていませんでした。

(ご参考)
2014年04月09日 「平成26年度当初予算について」
2017年02月09日 「これでいいのか八千代市の保育行政」


なぜこのような削減方向に舵が切られていたかというのは、平成26年度をピークに中央図書館・市民ギャラリー、総合グラウンド、小中学校耐震改修、八千代台東小学校及び八千代中学校校舎改築事業など大規模建設事業が重なっており、歳入歳出ともに600億円を超えたことも要因のひとつだろうと思われます。
(平成29年度までの普通会計歳出歳入推移)
平成29年度までの歳入歳出
そして翌年以降の平成27年度~29年度の3年間は財調確保に力を入れていたことが分かります。財調を確保するには、「予算を使わない」ということが必要です。すると必然的に、どこかを削らなければならないということになるわけです。
(平成29年度までの財調残高の推移)
平成29年度までの財調推移

大変厳しい財政の中では、何を優先するべきかという点が重要です。
当然、予算の関係上難しい施策も出てくるであろうことは理解できますが、就任前に計画が進められていた市内公立小・中学校のエアコン設置について、「令和2年度末を目標に特別室、音楽室、図書室、校長室、応接室、職員室、事務室のエアコン設置率100パーセントに向け取り組んでいる」という内容を見て、愕然としました。
「順序が逆でしょう」と強く思う計画案です。
そもそも学校のエアコン設置は、最近の猛暑に加え、生まれながらにエアコンが当たり前の子ども達の教育環境の整備の観点から普通教室のエアコン設置を最優先に進めるべきであり、大人のためではありません。

正直言って、「子育てしやすい街」を目指しているとは思えない状況でした。
そんな八千代市を目の当たりにしながら、「八千代市を何とかしなければならない!」という気持ちが日に日に強まるばかりでした。
財政カットによる市民サービスの低下は、悪循環しか生みません。限られた予算の中であっても、いくらでも改善できる点はあります。

八千代市はベッドタウンであり、まちの未来を考えると「高齢者福祉」そして「子育て支援」の2本柱は外せないと考えていますので、皆さんのお力添えで2017年(平成29年)5月に市長に就任させていただいてから、特に子育てに関する支援については重点的に取り組んできました。
初年度の平成29年度予算は既に(前市長によって)決定されていたため大きく舵を切ることは困難でしたが、翌年の30年度からは「子どもが第一の市政を大きな柱に据えた予算編成」ができたものと考えています。特に(待った無しの案件である)①働きながら安心して子育てできる環境づくり ②教育体制の強化 の2点にポイントを絞りました。

具体的に、平成30年度までに実施した主な項目は以下のとおりです。
〇民間事業者による保育園の整備
〇保育士の市外流出を防ぐため民間保育園等の保育士に対する処遇改善補助金充当
〇保育園の増設
〇幼稚園就園奨励費補助金の増額
〇学童保育所の増設、学校内への移設
〇学童保育所の受け入れ定員の増加
〇学童保育指導員の確保
〇放課後子ども教室の拡充
〇小・中学校の普通教室を含めたエアコン設置
〇小・中学校のトイレ整備
〇小・中学校のICT教育に対応した教育ネットワークシステムの運用管理に伴う補助費及び物件費充当
〇小学校の英語教育時間の拡充、推進とコミュニケーション力の育成注力
〇小・中学校の英語教育でALT(外国語指導助手)の派遣事業推進、全校常駐
〇ALTを指導課に配置し、英語教育教材やカリキュラム作成、教職員の研修等の推進

・待機児童ゼロ対策
保育環境の整備は、安心して働けるための子育て支援の柱です。そのため、就任後は保育所の増設や保育士の確保のために市として出来る限りの整備・後押しをしてまいりました。
保育所新設という点では「就任後の成果なのか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。実際、平成28年度も7園新設されているのですが、どれも小規模保育事業所と呼ばれる定員19名以下の施設で抜本的な対策にはなっていませんでした。そこで私が行なったのは、より積極的な大規模保育所新設の後押しです。
平成30年度までの2年間で60名規模を3園、90名規模を2園、160名規模を1園新設したほか、小規模保育事業所を60名規模に移行するなどして合計531人の定員増(待機児童30人まで縮小)を実現しています。
(保育園待機児童の状況推移_各年度4/1時点)
保育園待機児童状況

・教育体制の強化
地域差が大きい英語教育ですが、八千代市は平成30年度時点で船橋市や習志野市などの近隣市と比べて年間授業コマ数をかなり多く設定しており、教材やカリキュラム作成を独自で行ったり、計画的にALT(外国語指導助手)を増やすなど先進的な取り組み状況となっています。
また、ICT機器の導入も平成30年9月に完了しており、他市に遅れを取ることなく環境整備を図りました。

・子育て支援に対する予算状況
平成26年度~29年度(①)と平成30年度~令和2年度(②)の子育て支援に関する当初予算額平均を比較すると、約18億円増加しています。
①と②の期間における一般会計の伸び率が1.05%である中、児童福祉費は17.55%の伸び率であるのは、特に待機児童対策に重点的に予算を配分した結果です。
(主な理由)
<保育園の待機児童対策>
確保数を、①の期間で約200人であったのに対し、②の期間で約600人へ増やし、その平均予算額として約14億円の増額となっています。
<学童保育の待機児童対策>
確保数を、①の期間で約250人であったのに対し、②の期間で約400人へ増やし、その平均予算額として約2.7億円の増額となっています。


さて、八千代市では平成27年に策定した「第1期八千代市子ども・子育て支援事業計画」が平成31年度末をもって終了したことから、令和2年度~令和6年度「第2期八千代市子ども・子育て支援事業計画」を今年4月に策定しています。
その際、昨年1月に実施した「子ども・子育て支援に関するニーズ調査(市内7圏域ごとに、0歳から小学校4年生までの児童をそれぞれ無作為に抽出)」の結果も参考にしました。
この計画案に沿って、皆さんに少しでも「子育てしやすい街」だと実感していただけるよう、事業を推進してまいります。

八千代市子ども・子育て支援事業計画(令和2年度~令和6年度)
http://www.city.yachiyo.chiba.jp/80500/page100049.html
第2期子育て事業プラン

ちなみに、第1期計画からの見直し・新規追加した事業として、次のような項目を組み入れています。
★公立保育園を活用した待機児童対策
★公立保育園の定員及び配置の見直し
★教育・保育研修等による資質の向上
★教育・保育施設等への指導監査の実施
★公立保育園における幼児教育の充実
★一時預かり事業(一般型)の利便性の向上
★ファミリー・サポート・センターの利用促進
★充実した子育て情報の提供
★子育て情報のメール配信
★放課後子ども教室の整備
★長期休業中の児童の居場所づくり
★多様な子どもの居場所づくり
★都市公園の充実
★小児救急医療体制の維持
★子育て世代包括支援センターでの包括的な支援の実施
★子ども家庭総合支援拠点の充実
★医療的ケアを要する園児の受入体制の構築
★発達に課題のある園児への支援
★生活困窮家庭の子どもの学習・生活支援事業
★外国籍の親子に対する子育てに必要な情報提供・相談支援

この計画は、令和4年度にも再度見直しを図っていきます。
ぜひ皆さんからの声も、引き続きお寄せください。


(参考資料)
八千代市の財政状況
http://www.city.yachiyo.chiba.jp/40500/page000085.html

八千代市子ども・子育て支援事業計画(令和2年度~令和6年度)
http://www.city.yachiyo.chiba.jp/80500/page100049.html

今回の新型コロナウィルスでは、各自治体それぞれで支援策が行われています。
八千代市でも、特に「国や県の施策」では救済できていない日陰の部分に着目し、現時点までに新生児やひとり親世帯、中小企業支援などの独自支援策を講じてきました。
例えば、国が「児童手当受給者に対して一律一万円を上乗せ給付する」という支援を行いましたが、この対象者には4/28以降生まれの新生児が含まれません。ですが、この新型コロナウィルスで少なからず影響を受けている市民には変わりないという観点から、市税を投入することで他の子育て世帯と同額の給付をしました。

こうした給付金はもちろん、現金を配らなくても何か対策をするには「財源」が必要です。
この財源は、どこから捻出すると思いますか?

今回は、『八千代市の財政は今後大丈夫なのでしょうか?』『今後災害があったときに不安なのですが・・・』といったご質問に向けて、八千代市の財政についてお話します。

八千代市の財政調整基金
この表は、平成30年度までの八千代市の財政調整基金の推移です。
今回の新型コロナウィルス対策や昨年の台風による災害対策など、いざというときに使える貯金となるのが「財政調整基金」、いわゆる財調と呼ばれる積立金です。
財源に余裕のある年度は積み立てておいて、収入が大きく減ったり(大規模事業や災害など)一時的に多額の支出が必要になったときは取り崩します。

もうひとつ、財政について議論する際、しばしば出てくる目安の指標として「経常収支比率(=経収率)」という数字があります。これは、いわゆる固定費(人件費や公債費、物件費など経常的に支出される経費)を賄うため、財源の使い道としてどのような経費にも充てられる一般財源(地方税や地方交付税など毎年経常的に収入される財源)をどの程度充てているかを示したもので、この比率が低いほど自由に使えるお金が多いということになります。

八千代市はこのような状況です。
八千代市の経常収支比率

さまざまな市民のニーズに応えるために、この比率には余裕があることが望ましいとされています。
しかしながら八千代市では、物件費や扶助費、公債費、補助費などの経常的経費が増えており、近年ずっと財政の硬直化が進んでいる状態です。
県内で比較しても、かなり高い比率であることが分かります。
県内比較_経常収支比率

常に財源に余裕がない状態が続いていますから、いざという時につかえる貯金(財調)に回せる金額も限られています。
八千代市の財調は、県内で比較すると多くないことが分かります。
県内比較_財政調整基金
これらの指標については、他市の市長たちと時々議論することがあります。
一般的には「財調は多くあればあったほうが良く、経収率は低ければ低いほど投資可能財源がある」と言われていますが、市民サービスの充実といった観点から、一概にそうとも限らないのではないか?という話です。

例えば財調は(歳入歳出の差である)実質収支の1/2以上を積み立てるのですが、これが多額にあるということは、もしかしたら「歳入に比べて歳出が必要以上に抑えられていることで、市民サービスにつながる歳出を抑え込み過ぎている可能性がないとは言えない」という見方があります。
また、経収率についても、「高くて投資可能財源がとぼしいと言うことは、それだけ市民サービスに使っているから余剰財源が少ない」と主張する市長もいるくらいです。

しかしながら、今回の新型コロナウィルス対策を講じながら考えてみると、八千代市は令和7年度までは人口増が続くとはいえ、その後は人口減となり歳入の大きな柱である市税収入の落ち込みが視野に入ってきています。
また、今回の新型コロナウィルスの影響で来期の市税収入の減少も懸念されます。

現在の市民サービスを維持継続するためにも、経常支出の削減を断行しなければならないと考えます。
八千代市の財調は、前年度決算ベースで約25億円。
この金額は、決して少ないわけではないのですが、潤沢にある状態でもありません。
経常支出を抑え、財政を筋肉質にすることで、市民サービスの更なる充実に努め、市民満足度の高い八千代市政に取り組んで参ります。

ご参考/
「八千代市の財政状況」平成30年度決算から
(市ホームページ)
http://www.city.yachiyo.chiba.jp/content/000111250.pdf

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