八千代市は、千葉県の中でも(千葉市を除いて)6番目に人口の多い市です。
令和2年3月末に人口20万人を超えたことは、市ホームページや広報やちよでも目にした方が多いと思いますが、この「人口20万人以上」という要件を満たすと出来ることがあります。
それが、中核市への移行です。
中核市というのは、平成8年に施行された制度です。
従来は、都道府県から多くの事務権限を移譲された政令指定都市(千葉県では千葉市が該当)か、その他の市町村という枠組みの中で地方行政が行われてきましたが、人口規模や事務処理能力などには大きなバラつきがあります。
そこで、人口20万人以上という要件を満たした市の申し出があれば、市議会の決議等を経て「中核市」に移行することが出来るようにし、政令指定都市と同じように権限の一部を県から担うことで、市独自で行うことが出来る行政サービスの幅を広げられるようになりました。
中核市のメリットについて

(「指定都市・中核市・施行時特例市の主な事務」総務省ホームページ内)
上の表でも分かるように、中核市になると、一般市であれば都道府県が行う事務のうち、都市計画・環境保全・福祉・教育・保健衛生といった市民サービス向上に直結するような仕事が、市に任せられるようになります。
また、関与の特例(=知事の認可や承認、命令などの関与を必要とせず、市単独で行政執行を図ることができる権利)についても、「福祉に関する事務」に限り認められるようになります。ちなみに、政令指定都市の場合は事務全般が対象です。
中核市になるメリットの例を挙げると、例えば都道府県事務所まで手続きに行く必要があったことが市の手続きだけで完結できるようになるので、事務作業の効率化(スピードアップ)を図ることができたり、保育所や養護老人ホームの設置や運営基準などを独自に設定できるようになるなど、市の実情に合わせたまちづくりがしやすくなります。
また、保健所の設置が義務付けられます。
新型コロナウイルス感染の件で、千葉県以外に独自で陽性者の調査を行うことが出来るのは、政令指定都市である千葉市のほか、県内で中核市になっている船橋市と柏市の3市のみです。これは、政令指定都市とそれに準ずる権限を持つ中核市は、(県の管轄から外れ)保健所を設置し独自で運用しているからです。
感染症をはじめ、さまざまな保健所業務を県を介さず市役所が担うので、国からの情報も直接市に届けられるため、より迅速な対応が可能になるという大きなメリットがあります。
特に新型コロナの状況下にありますので、皆さんからも「中核市への移行を検討しないのか?」といったご意見や質問が寄せられています。
八千代市は中核市に移行するべきか
前置きが長くなりましたが、今回の本題「八千代市は今後中核市に移行するべきか?」という話です。これに関しては、私としては中核市に移行する必要はないと考えています。
実際に中核市へ移行し、「メリットよりデメリットのほうが大きかった」という話を私が県議時代に聞いたこともあります。
その主な原因は、膨大に膨らむ市の人件費負担です。
「県から権限を移譲される」「市の独自判断でサービスが展開できる」というと聞こえは良いですが、裏を返せば、今まで県職員によって賄われていたサービスの大半を市職員で行わなければならないということになります。
特に、保健所や産業廃棄物に関する業務は高度な専門知識を要するものも含まれますから、市職員の育成が不可欠になります。多種多様な市民サービスを県職員に頼らず引き継ぐためには、当然職員の数も相当数確保する必要が出てきます。
中核市へ移行する場合、県から移譲される事務に必要なランニングコストは地方交付税でカバーできる見込みがありますが、保健所など新たに施設を準備したり、市職員の増員や育成にかかる費用など、もろもろの初期費用に対しては国からの支援が限られているため、市の財源に余力がなければ実現が厳しいと言えます。
八千代市の人口は、今後伸びても21万人に留まり、令和7年を境に減少傾向になると予想されています。「20万人以上」という要件ではあるものの、実際に中核市となっている船橋市は64万人、柏市は43万人です。市川市や松戸市はどちらも50万人目前ですが、中核市に移行するという選択は取っていません。
魅力的なメリットもありますが、八千代市が選択するには財政面、そして市民サービスの観点からもデメリットが大きいことから、恐らく今後もこの「中核市に移行するか?」という議論は上がらないだろうと思われます。
(ご参考)
総務省ホームページ「地方公共団体の区分」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/bunken/chihou-koukyoudantai_kubun.html
令和2年3月末に人口20万人を超えたことは、市ホームページや広報やちよでも目にした方が多いと思いますが、この「人口20万人以上」という要件を満たすと出来ることがあります。
それが、中核市への移行です。
中核市というのは、平成8年に施行された制度です。
従来は、都道府県から多くの事務権限を移譲された政令指定都市(千葉県では千葉市が該当)か、その他の市町村という枠組みの中で地方行政が行われてきましたが、人口規模や事務処理能力などには大きなバラつきがあります。
そこで、人口20万人以上という要件を満たした市の申し出があれば、市議会の決議等を経て「中核市」に移行することが出来るようにし、政令指定都市と同じように権限の一部を県から担うことで、市独自で行うことが出来る行政サービスの幅を広げられるようになりました。
中核市のメリットについて

(「指定都市・中核市・施行時特例市の主な事務」総務省ホームページ内)
上の表でも分かるように、中核市になると、一般市であれば都道府県が行う事務のうち、都市計画・環境保全・福祉・教育・保健衛生といった市民サービス向上に直結するような仕事が、市に任せられるようになります。
また、関与の特例(=知事の認可や承認、命令などの関与を必要とせず、市単独で行政執行を図ることができる権利)についても、「福祉に関する事務」に限り認められるようになります。ちなみに、政令指定都市の場合は事務全般が対象です。
中核市になるメリットの例を挙げると、例えば都道府県事務所まで手続きに行く必要があったことが市の手続きだけで完結できるようになるので、事務作業の効率化(スピードアップ)を図ることができたり、保育所や養護老人ホームの設置や運営基準などを独自に設定できるようになるなど、市の実情に合わせたまちづくりがしやすくなります。
また、保健所の設置が義務付けられます。
新型コロナウイルス感染の件で、千葉県以外に独自で陽性者の調査を行うことが出来るのは、政令指定都市である千葉市のほか、県内で中核市になっている船橋市と柏市の3市のみです。これは、政令指定都市とそれに準ずる権限を持つ中核市は、(県の管轄から外れ)保健所を設置し独自で運用しているからです。
感染症をはじめ、さまざまな保健所業務を県を介さず市役所が担うので、国からの情報も直接市に届けられるため、より迅速な対応が可能になるという大きなメリットがあります。
特に新型コロナの状況下にありますので、皆さんからも「中核市への移行を検討しないのか?」といったご意見や質問が寄せられています。
20万の人口なら保健所も検査出来る様になるのでは? https://t.co/xA4qG1gzOF
— 八千代市の残念 (@SRkM4LS2UnB97hy) July 19, 2020
人口20万人おめでとうございます。
— らっきょ (@hcmnVe4VGmCt9dM) July 19, 2020
ロゴマークも素敵だと思います。
今後も市長の取り組みに期待しております。
一つ質問があるのですが
今後八千代市は中核市に移行するのでしょうか?
八千代市は中核市に移行するべきか
前置きが長くなりましたが、今回の本題「八千代市は今後中核市に移行するべきか?」という話です。これに関しては、私としては中核市に移行する必要はないと考えています。
実際に中核市へ移行し、「メリットよりデメリットのほうが大きかった」という話を私が県議時代に聞いたこともあります。
その主な原因は、膨大に膨らむ市の人件費負担です。
「県から権限を移譲される」「市の独自判断でサービスが展開できる」というと聞こえは良いですが、裏を返せば、今まで県職員によって賄われていたサービスの大半を市職員で行わなければならないということになります。
特に、保健所や産業廃棄物に関する業務は高度な専門知識を要するものも含まれますから、市職員の育成が不可欠になります。多種多様な市民サービスを県職員に頼らず引き継ぐためには、当然職員の数も相当数確保する必要が出てきます。
中核市へ移行する場合、県から移譲される事務に必要なランニングコストは地方交付税でカバーできる見込みがありますが、保健所など新たに施設を準備したり、市職員の増員や育成にかかる費用など、もろもろの初期費用に対しては国からの支援が限られているため、市の財源に余力がなければ実現が厳しいと言えます。
八千代市の人口は、今後伸びても21万人に留まり、令和7年を境に減少傾向になると予想されています。「20万人以上」という要件ではあるものの、実際に中核市となっている船橋市は64万人、柏市は43万人です。市川市や松戸市はどちらも50万人目前ですが、中核市に移行するという選択は取っていません。
魅力的なメリットもありますが、八千代市が選択するには財政面、そして市民サービスの観点からもデメリットが大きいことから、恐らく今後もこの「中核市に移行するか?」という議論は上がらないだろうと思われます。
(ご参考)
総務省ホームページ「地方公共団体の区分」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/bunken/chihou-koukyoudantai_kubun.html